第1話:「興味が無いわ」

12/16
前へ
/16ページ
次へ
 ナイルの黒炎は、私の黒炎とぶつかり、消えた。 「まさか……!? インスタントイミテーション!?」  ナイルは目を大きく開き、ワナワナと震える。 「フ……フハハハハハッ! 素晴らしい!」  そして、手を叩いた。 「そうか……。素晴らしい能力だ。推測するに、武術もイミテーション出来るのですなぁ」  ナイルの表情は、まるで財宝を掘り当てたかのような、無邪気な笑顔だった。 「どうですか? 私と組みませんか? あなたと私なら、この世界の頂点に立つことなど、他愛もないでしょう」  私は、右手で自慢の後ろ髪を跳ね上げる。 「興味がないわ」  私の声を聞き、ナイルの動きが止まった。 「その声……その仕草……まさか……」  私は、肩が上下するほどのため息を吐く。  そして、顔を隠している布を取ってやった。 「残念ね。ナイル」 「リリー……王女――」 「の、双子の姉よ」 「なんと!?」 「ウッソッ!」  私は素早くナイルの懐に飛び込み、ナイルの腹部に肘打ちを食らわした。  ナイルは3メートルほど吹っ飛んだ。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加