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「号外! 号外だよー!」
今日も朝から賑わう城下町。
今、巷では『正義の味方バタフリー』が流行っている。
悪業を働く悪人どもを次々と成敗する。
『バタフリー、ソーサラー一家襲撃犯を退治!』
バラ巻かれる紙。
丁度私の手元に飛んで来た1枚を、上手く掴む。
「おっ! 王女様! 今日も見学ですかい!?」
「えぇ。賑やかで良いなぁって」
「バタフリー様々ですよ!」
私はこの国の王女。
リリー・フェンリル。
15歳。
そして、弟がいる。
セイズ・フェンリル。
13歳。次期国王。
この国は変わった制度がある。
身分制度。
王族、ソーサラー、貴族、平民……。
なぜこんな制度が必要なんだろう。
弟が国王になったら絶対に廃止させてやる。
私は隔てを無くすために毎日、町へ散歩をしている。
もちろん、教育係兼世話役のキュベレイは置いて。
それに応えてくれる様に、みんなは話し掛けてくれるようになった。
そしてもう1つ、私が散歩をする理由がある。
「大変だぁ~! リリー様! リリー王女様~!」
また……。
腹が立つのも通り越して呆れてしまう。
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