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椅子の上から偉そうに……。
「わざわざココを通らなくても宜しいのではありませんか?」
「それはリリー様とて、同じでございましょう? こんな所にご用があるとは思えませんが?」
「私は日課にしておりますの。みなさんの様子を伺えますから」
「同じですな。私どもは、きちんと身分の違いを教えてやる為に日課しようとしております」
「そんな必要はありません! 決まったテリトリーがあるでしょ!?」
「下の者のテリトリーに入るのは違法ではございませんでしたでしょう?」
「だからと言って暴力は許せません!」
「身を持って覚えさせ――」
「あんた! 頭が高いのよ!」
「……申し訳ございません」
ナイルは椅子から降り、膝を地面に着ける。
辺りは水を打ったように静まり返った。
あー言えばこう。
頭に来てしまった。
このセリフは言いたくない。けど、どうしても使わなければならない。
身分制度を肯定するこのセリフ。
命令などもそう。
私は町人を守っている様に見えて、権力を振りかざしているだけかもしれない……。
「王女様も、同じですな」
ナイルに言われてても仕方が無かった。
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