11月4日、会社

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「ありがとうございます! 嬉しいです!」 綾菜ちゃんは謙遜するでもなく満面の笑みでその誉め言葉を受け取った。 思うに謙遜しすぎるより、綾菜ちゃんみたく素直に言葉を受け取ってくれたほうが言ったほうも気持ちのいいものである。 ところで、  その微笑んでいる綾菜ちゃんをがっつり見ているやつが一人。 「何? 早紀? 綾菜ちゃんの顔にでもなんかついてるの?」 あたしは少し呆れたように早紀に問い掛けた。 「違うわよ! こうやって近くでみてもやっぱり川瀬さんってかわいいなと思って見てたの! よく言われるでしょ? かわいいって?」 「あ……、え……、いやっ……!」 ……そこは料理と違って肯定しないのね。 でも綾菜ちゃん……、  その肯定しない感じが数々の人にかわいいと言われてきたのを物語っているよ……。
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