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トイレの鍵があけられた。
「お、川瀬さん大丈夫だった?」
明るい声で早紀が鍵を開けた綾菜ちゃんに声をかけた。
「はい……、吐いたんで大分スッキリしました。すいません、ご迷惑をおかけしまして……」
綾菜ちゃんはうやうやしく早紀にそう告げた。
まったく綾菜ちゃんの演技力と切り替えの早さには恐れ入るよ。
――今、さっきまであたしにキスしていた人とは到底思えないな……。
「何? 香奈? 変な顔しちゃって! なんか川瀬さんよりむしろ香奈のほうが顔赤いわよ。飲み過ぎ?」
「そ、そんなことないわよ! っていうか誰のせいよ! 飲み過ぎたのは!」
もう酔っていないはずなのに、あたしの顔はそんなに真っ赤なのか……。
綾菜ちゃんをチラッと見ると早紀の横で可笑しそうに微笑んでいた。
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