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「よっ! 今年もあんたの寂しい誕生日のためにこの早紀様と南がきてあげたわよ」
そういって上から目線で話すのは同期の「立花早紀」。早紀とは高校時代からの腐れ縁であったりする。
「いきなり来ちゃったけど大丈夫? 迷惑じゃなかった?」
そうやって心配そうにあたしを気遣ってくれるのは「山城南」といって、こちらは入社からの付き合いである。
「ううん! 南! 全然迷惑じゃないよ! でも早紀はちょっと迷惑かな」
「うわっ! 最悪! 折角来てあげたのに!」
そのふざけたやりとりに南が笑う。
あたし達三人の関係はいつもこんな感じ。
早紀とあたしのふざけたやりとりを見て、南がそれを見て笑っているって関係。
誰も無理していないで、楽しくて、あたしはこの関係がとても気に入っている。
「ははっ! 嘘! 嘘! 早紀も南も来てくれてすっごいうれしいよ! ただ……」
あたしは綾菜ちゃんがいるだろう部屋にちょっと視線を向けた。
「……『ただ』何よ?」
「もしかして……誰かいるとか……?」
二人はあたしに訝しげに聞いてくる。
「まぁ……、中に入ればわかるよ……」
あたしは微妙な笑顔を作って二人を家に招き入れたのであった。
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