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「…………」
「…………」
綾菜ちゃんを見た二人は無言だった。
というか驚きで声が出ないといったほうが正しいかもしれない。
――そりゃびっくりするだろう。
なんで『ただの上司』と『ただの後輩』であるはずのあたしと綾菜ちゃんが、家に来て誕生日を祝おうとしてるんだって話ですよね~……。
綾菜ちゃんは二人が入ってくると立ち上がり、「こんばんは」と挨拶したのだけれど、二人から返答がないので少しおろおろしている。
「……こんばんは……って!!! なんで川瀬さんが香奈の家にいるの?!」
やっと正気に戻った早紀が勢いよくあたしに質問する。
「……えっと……、それは……」
――ヤバイ、まさか『あたし達付き合ってるからで~す!』なんていえるはずないし……! どうしよう……!
あたしは言い訳を考えるのに必死になっていると綾菜ちゃんが話しはじめた。
「たぶんお二人も知っていると思うんですけど、私にイタズラメールがあったとき、主任にはいろいろとお世話になったんです。どうしても私はそのお礼をしたくて、誕生日が近いということだったので、無理やり私が押し掛けたんです」
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