椿の簪

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隅田川の脇を一人の大柄な男が歩いていた。腰に刀を携え、紋付きの流しを身に着け、風貌からは侍であることが伺える。 しかし、その歩みは足元もおぼつかず侍らしい威勢は感じられない。 まぁ、この御時世。上も「倹約倹約」。ことある毎に「質素倹約」だ。 侍に限らず、街全体に活気が無いのは確かだった。
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