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季節が冬だったのは不幸中の幸いだ。探せばまだわりと生存者はいるだろう。
夏なら、腐食の速度はもっと早く進むはず。感染症も今より激化することは間違いない。
「隊長!!ちょっとちょっと」
「今更“隊長”だなんて。
もう知った中じゃないですか。隊長は止めてください。距離を感じますよ。いつも通り、名前で呼んでいただいて結構です」
「でもマァ…一応隊長になったわけヂャン??なら呼ばせてよ」
「ははは。確かにその通りですね。わかりました。でも今は名前でお願いします」
「ラジャーっすー」
山木はまた隊長に戻ったようだ。島を脱出した時は隊長だが、一応隊長代理の高田さんがいたため山木は隊長を外されていたみたいだ。
山木の今回の任務は、日本の現状報告。
遭難船に乗り込み、島で生活することになる以前には何度か日本に来たことがある。日本語を覚えるために留学していたことだってある。
だから、日本は知らない土地ではない。彼は日系アメリカ人。顔が思い切り日本人なのはそのためだ。
山木を呼んだのは美月。今回の任務で久しぶりに美月に会うことになったのだ。
彼は呼ばれてそっちへ行った。
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