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新宿の大通りから、呼ばれて小道に入った。
狭い路地を抜けて一つ角を曲がり進むと少し広がりがある。
その先に美月は先に進み手招きをしている。
『こっちこっち』
急かす美月は、手招きしながら足元を指差していた。歩くとカツカツと音が反響する。
寒く、湿度はないが雰囲気はジメジメとして気持ち悪い。その狭い路地はビルとビルの間。
いろんなものが入り組んでいるため下まで日が差し込んでこない。
その為、路地は暗いのだ。それだけで気味悪さは十分だった。
カツカツ…
カツ…
山木は周りに注意しながら進んだ。無線はいつでも繋げるようにしてある。もしもの時のため。
一応危険エリアの指定解除されたが、注意することに変わりない。
『山木さん、ちょっと見て』
美月が見つけたのは、まだ息を引き取ってからまもない死体の集団。
血の気がまだ引ききっていない。
それを見て二人は目を合わせた。
『まだ近くにいる可能性ありよ。指定解除は早かったかもしれないわね』
『確かに、そうですね、油断は禁物です』
二人は、ぐっと気を引き締め直した。
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