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その時ダンテは見た。露出した硬い無数のケーブルの中でひとつだけ脆そうなケーブルを。そしてそのケーブルは胸の中へと繋がっている。その先は見えないがもし自分の予想通りなら動力源に繋がるケーブルに違いない。
「兄貴!あのケーブルだ!」
ダンテのその一言でバージルもすぐにわかったらしい。彼は無言で頷いた。
「タイミングを合わせろ!」
「オーケー!」
空中でダンテは逆さまになり凄まじい勢いで回転しながらエボニー&アイボリーを連射する。『レインストーム』と呼ばれるこの技は相手の脳天に凄まじいまでの弾丸の雨を浴びせる。
最もオリハルコン装甲のプロトタイプ・ジャックにこの弾丸は効くはずもないのだが、目的は奴らにダメージを与えることではない。
プロトタイプ・ジャックの視線がダンテに向けられる――――。それだけで充分だった。
「Die...!」
二体のプロトタイプ・ジャックの注意がダンテに向けられたその刹那、バージルが一刀の元にプロトタイプ・ジャックの動力ケーブルを切断した。ダンテの読みは当たった――――。プロトタイプ・ジャックはその瞬間全ての活動を停止し、ただのガラクタと化した。
「ジャックポット、兄貴」
「ふん…所詮はただの鉄クズだ」
バージルは刀を鞘に収めた。
「さて…」
ダンテはおもむろに銃を肩越しに自分の背後へ向けてぶっ放した。
その弾丸は今まさに逃げようとしたホァンの顔面スレスレを横切り、ヘリの側面に銃痕を残した。
「ヒッ…!」
「どこへ行く気だ」
「く…くそっ!」
ホァンは突如円筒状の何かを投げた。円筒状の物体からは大量の白煙が立ち上る。スモーク・グレネードだ。たちまちダンテとバージルの視界は白い闇に染まってしまう。
「あばよマヌケども!」
ホァンはその隙にヘリへと乗り込み、ビルを脱出した。ビルがみるみるうちに遠ざかり小さくなってゆく。
やった。逃げ切った。そう確信したホァンだった。しかし相手が悪かった。相手が『あの二人』とあっては。
突如白煙の中からまるでこちらが見えているかのように大量の弾丸がヘリを撃ち抜いた。そして続いて飛んできた刀がヘリの機体後部を切り落としたのである。
「なっ!?なにいいぃ!?うわあぁぁぁぁぁ…!!」
ヘリは大きくバランスを崩し、機体から火を吹きながらクルクルときりもみしながら落下していった。
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