109人が本棚に入れています
本棚に追加
玄関のドア穴から覗いてみると、一人の見知らぬ男の子が手提げ鞄を持って立っていた。
歳は見た感じ、6、7才ってところ。
ドアを開け、
「なんや坊主。オッチャンに何か用か?」
「…………」
男の子は下を向いて黙ったまま。
「どこの子や?」
「…………」
「オッチャン忙しいんや!とっとと帰れや!」
訳の分からない子供を相手にしてられない。
そのままドアを閉めて、TVの前に向かった。
「おい!ツーアウト2、3塁になっとるがな。しかも3対3のまま。せやけどバッターは4番の金村。一発頼むで~!」
しかし俺の願いも虚しく三振。
「おいおい、何やってんねん!」
飲み干したビールの缶を握り潰す。
『ピンポン!』
「あ~っ!!またあのクソガキかいなっ!」
再びドアを開けると、やはり先程の男の子が立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!