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夕暮れの海岸沿いに一台の車が止まった。
「どうしたの光樹」
光樹は運転席のドアを開け、外に出ると浜辺の波に向かって歩き出した。
と、
「密菜、お前もこっちに来いよ」
振り向きざまに光樹が叫んだ。
密菜は怪訝な表情を造って、光樹の後を追った。
砂浜に足を取られながらもやっと光樹に追いつくと、
「どうしたの光樹。いくら海ったって、もう秋よ」
とシャツの裾を引っ張った。
密菜は反動で振り返った光樹の事をしげしげと観察した。
ズボンのポケットが心なし膨らんでいる。
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