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密菜はポン、と手を打つと、
「ああ、分かった! 上司に叱られたりして、波に向かって叫ぼうっていうんでしょ。古~い!」
と、心にもない科白を吐いてケラッと笑った。
光樹は肩をすくめた。
が、再び密菜に背を向けると波の揺らめきに視線を戻し、ズボンの膨らみに手を添えた。
「なあ、気づいたらもう、二一世紀なんだよな」
突然持ち出された光樹の話題に、密菜は頸を傾げた。
「え、ええ。まあ、それはそうだけど・・・・」
「密菜さあ、お前の親父さんとお袋さん、元気かい?」
「・・・・ええ、そりゃ元気だけど」
ますます訳が分からない。
今日、密菜の家まで迎えに来た光樹は、ちゃんと密菜の母親と世間話を交わしてたのだ。
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