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「その通り。これが血筋って奴だな。
しかもこの血筋は延々と遙か過去までつながっているんだ。
その筋のどこか一カ所でも途切れていたら、俺達はこの世に生を与えられることはなかった」
「一カ所でも・・・・」
「そうだ。喩えてみれば、血筋とは上流に向かうに連れて倍々に枝分かれをする赤い川みたいなものだ。
無数の川が下流へ流れるに連れて合流を繰り返し、やがてそれは一本にまとまるんだ――その最下流の川が密菜であり、俺なんだ」
密菜の脳裏で、その壮大な喩えが連想された――蜘蛛の糸のように無限に拡がる赤い川。
その途中の一本が途絶えた途端、そこから下流はどんどんやせ細って途絶えてしまい、最下流の一本も消滅してしまう――ああ、あれが私なんだ、と密菜はそのあまりのスケールの大きさに軽いめまいを覚えた。
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