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密菜の頭の中で巨大な蜘蛛の糸状の赤い川がもう一つ増えた。
その最下流の二つの川が絡み合い、また一つの新しい川が誕生する――ああ、私は最下流じゃないんだわ、と密菜は規模が倍に膨らんだ血筋の川を連想してちょっとした感動を覚えた。
そのくせ、出てきた科白はこうだった。
「それで、エントリー用の指輪は?」
――結構、現金だな
案外、男の方がロマンチストなのかもしれない。
内心苦笑しながら光樹はズボンのポケットに手を差し入れた・・・・
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