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しかし、女の子は黙ったまま、ひたすらぶらんこを鳴かす。未来は更に大きな声で、「あのっ!」と話掛けたが、女の子は黙ったままだった。とうとう未来は頬を膨らまし、ぶらんこに近付いて、叫ぶように言った。
「あのっ!!聞いてますか!?」
女の子が、クスッと笑ったような気がした。未来は、楽しそうにぶらんこをこぐ女の子を見て、だんだん羨ましくなってしまった。そして、ボソッと呟く。
「うちもぶらんこ乗りたい」
女の子ははっきりと、クスッと笑った。そして、なんの前振りもなく、ぶらんこから跳んだ。地面に足を着けると、初めて未来の顔を見て、無邪気な笑顔で答えた。
「いいよ」
未来は、その笑顔につられて、にこっと笑った。
その女の子は、名前を梨歌といった。
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