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梨歌の家は例の公園より、少しだけ離れたところにあった。未来は平然と、インターホンを押した。ピンポンの後に、とたとたと家の中から、足音が聞こえる。ガチャとドアは開いた。 「あっ……」 残念ながら梨歌ではなかった。出てきたのは、エプロン姿の梨歌のおばさんだった。 おばさんは未来を見ると、とても困った顔をした。 「あ……未来ちゃん。こんにちは」 そう小さく挨拶をしてきたおばさんに「どうも」と短く返すと、単刀直入に聞いた。 「梨歌はいますか?」 おばさんの眉が、ピクッと微かに動いたような気がする。おばさんは笑顔も作らず、引きつった顔のまま早口で言う。 「梨歌は今具合悪いから寝てる。用事それだけなら、悪いけど帰ってちょうだい」 ガチャ――。玄関の扉は冷たく閉ざされた。未来は、呆然と立ち尽くすしかなかった。
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