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ぶらんこ
少しだけ冷たい風が吹き始める頃、ぶらんこと滑り台しかない小さな公園で、ある二人の女の子が出会った。
風の音しか聞こえない中、くせっ毛で茶髪の女の子はぶらんこに揺られ、ショートカットの女の子はくせっ毛の女の子をじっと見つめていた。
しばらく、見つめ合ったまま時が流れ、やっとショートカットの女の子の方が口を開いた。
「ぶらんこ……、うちも乗りたい」
それを聞いたくせっ毛の女の子は、空を見上げた。
そして、なんの前ぶりもなく、ぶらんこから跳んだ。小さな体は一瞬だけ宙に浮かび、地に足をつけた。くせっ毛の女の子は言う。
「いいよ」と。
その言葉で二人は笑顔を見せた。曇りのないその笑顔は、世の中を知らない、ただの無邪気な子供の笑顔だった。
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