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梨歌の様子がおかしくなったのは、少し前からだ。いつも学校で笑っていた梨歌は、ぴたりと学校から姿を消した。先生に事情を聞いても、ちっとも答えてくれず、あやふやにされてしまうので、未来はますます心配になった。明らかに何かが変だったから。 「未来、最近どうした?テンション低いけど」 未来の前の席の松坂 志保が、つまんなそうにそう言ってきた。未来は、「最近考え事多くて」と、ため息混じりにそう言った。 「どうせ梨歌ちゃんのことでしょ。なんで学校来ないのかなぁ。イジメ……ではないと思うけど」 志保は未来をジーッと見たまま、そう言った。未来はいちいち絡んでくる志保を、だんだんうっとおしく思えてきていた。 「ほんと今考え事してるから、一人にしてくれない?」 早口で呟いた。志保は見るからに不愉快そうな顔で、何も言わず、別の子たちのところに行ってしまった。未来はホッと息をつく。そして、梨歌の家に行くことを決心した。
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