恥辱のルブ・セタ

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   隊列の先頭を行く二頭の騎馬のうち、わずかに後方を行く騎馬の上から男が声をかける。  「隊長、民衆のこのあわてぶり………どうやらただごとではありませんぞ」  「らしいな。中隊行軍停止、全員馬降りて馬車の前面で臨戦体制をとれ!モラレス、状況を確認しろ」  副官のモラレスはかるくうなずくと馬から降り、、走ってくる行商人らしき男を捕まえて騒動の原因を問い質した。にわかにモラレスの表情が曇り、視線が空を泳ぐ。  「どうした、状況を報告しろ」  「それが………なんでも、その先でゴブリンが暴れているとかで………」  「ゴブリンだと?ばかなことを………奴らは人間の集合意識に敏感だ、こんな街中に現れるわけあるか」  「まったくです………だとすれば、この騒動は、恐らく」  「うむ、このところ国境付近で遭遇する正体不明の部隊の可能性が十分にあるな………モラレス、馬を捨てるぞ。キルニーの小隊はここで馬車と騎馬を警護しろ、残りは私に続け!」  ここでハタリの第三討伐隊は二手にわかれ、ハタリ、モラレス、ジョノ小隊以下、総勢九名が人波に逆らって進軍を開始した。 .
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