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かつて、アフリカ大陸がガルモアと呼ばれていた時代。
西の王国ヴェイダで奇妙な事件が起こり始めた。
太陽が日食を起こす前後六十六日の間、明けの黎明(れいめい)に合わせて産まれた幼児すべてが産声もあげることなく、静かに息を引取っていった。
王は神官どもに託宣(たくせん)をたまわるよう布令を出し、神々に事の仔細をたずねた。
神々は沈黙し、精霊たちもその気配を消してしまい……神官はことごとく邪宗の門下へと堕ちていった。
国土は荒廃し、内戦は悲劇をその養分として戦火を拡大してゆく。そのさなか………
隣国ソナクスとの国境沿いにある貿易都市パガンの街が壊滅した。
通商連合からも、王国の駐屯軍からも音沙汰のないまま街は炎に包まれ、人々は姿を消した。
いかなる者たちにもその原因を究明することはできなかったが、ただ一人これを予言していた者がいた。
その者はソナクスに越境すると極秘裏に王族たちに接触し、ほどなくヴェイダとの国境は強力な重装兵団によって封鎖された………。
パガンの街が壊滅したのは、それから六十六日目のことだった。
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