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キミはいつだって笑顔だった
その笑顔がとてもとても眩しくって
それを見てボクも笑顔だった
ボクたちはいつも一緒だった
「どうしてずっとずっと一緒に居られないの」
涙を流しながらキミは言った
「ボクは壊れちゃったんだよ」
それを聞いてキミはもっと泣いた
だからボクはキミを抱きしめた
そしたらキミはもっと泣いた
「こんなに悲しいならこころなんていらないよ」
涙を流しながらキミは言った
キミが悲しいとボクも悲しいよ
それを聞いてキミはもっと泣いた
だからボクはキミを抱きしめた
そしたらキミはもっと泣いた
「ことしも桜が綺麗に咲いたよ」
満遍の笑顔でキミは言った
だからボクはキミを抱きしめた
そしたらキミはちょっと涙を流して
そうしてボクも少し涙を流した
「こころがあるからキミを好きでいられるんだよ」
かすれた声でボクは言った
キミはまた涙を流して泣くから
ボクはキミを抱きしめたかった
だけれど体は動かなかった
そしたらキミはもっと泣いて
だからボクは精一杯の笑顔で
いつしかボクはキミにサヨナラをした
そしたらキミはずっと泣いた
桜が散った
蜩が鳴いた
山が燃えるような赤に染まって
見渡す限りが真っ白に覆われて
そしてまた桜が咲いた
いつしかキミもみんなにサヨナラをした
それから僕たちはずっとずっと一緒だった
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