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「貴様の子供か孫、または子孫に女子(おなご)を授かったなら、貰い受けに行くとしよう」
「女子? 食らうのか。この筋ばった男の体よりは女の方が柔らかいと?」
狼は、男の言葉を鼻で笑うと再び口を開いた。
「我は人狼族ぞ。その辺の野蛮な狼と一緒になぞされれば臓物が煮える」
「では、何故?」
答えを聞いた男は頷くと、促されるままにその狼の背にまたがり、山のふもとまで送り届けてもらった。
「我が名はサラ。約束、忘れるでないぞ」
青年と人狼がその約束を交わしたのも、もう大分昔のことである。
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