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「ああー、もう! おうちから出るんじゃなかったー! あめのばかー!」
いまだに水滴を降らし続ける暗い空に向かって声を張り上げた。
八つ当たりもいいとこである。
すると、うしろから元気な声が聞こえてきた。
「キャン!」
「?!きゃあっ」
足元から突然声がしたのであとずさろうとしたのか、足がもつれて尻餅をついた。
犬だ。薄汚れてはいるが、恐らく真っ白の。
こけた拍子にバシャリと嫌な音がして、飛びおきる。
「いやぁあ! おしりまでぬれちゃったじゃない!」
自分が回りに注意して歩いていなかったことを棚にあげ、「アンタのせいよ!」と怒鳴りつけようとした。
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