修学旅行

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普段聞かない黒澤の感情的な、しかも力強い声に、廉は驚いた。 「く、黒澤君・・・」 「ご、ごめん・・・僕も君と同じなんだ。性格は君とは正反対みたいだけど・・・友達なんて一人もできたこと無かったんだ。僕の家、父さんが単身赴任で九州に行っててさ、家には病弱な母さんがいるだけ・・・。普段から、外で遊ぶこともしなかったし、学校で何かをしようということもなかった。だから、本当に嬉しかったんだ。君が僕を誘ってくれて・・・。たとえ、いじめから逃れるためだけでもね。」 「そんなことないさ。君は信頼できる。信用すらできない人間と修学旅行で行動しようとするほど、僕は馬鹿じゃないよ。」 廉が微笑んだ。黒澤も笑った。 彼の笑顔を初めて見て、互いに今こそ信頼関係が築けたと、廉は安堵した。 「よし、2組、飛行機に乗れー。」 担任の声に続き、廉たちは飛行機に乗り込んだ。
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