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汚れた服とカバンを手に、廉は家へとたどり着いた。 閑静な住宅地にポツンと佇む、ごく普通の2階建ての家だった。 家は彼が唯一、誰ともかかわりを持つことなく過ごせる場所だった。 父は10年前に死んだ。 母とは会話もほとんど無い。母は仕事尽くめで夜遅くまで帰ってこない。 家族の食事は二人分朝は母が、夜は廉が作る。 もう一週間も、顔を見ていない。 服を洗濯し、自室へと向かう。暇だから読書でもしようと、廉は決めていた。
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