時次

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その目に映っていたのは、憎悪だけだった。 目の前に無残に転がる時次。 全身が震える。 体の奥から力が湧いてくる。 近くに転がっていた鉄パイプを拾い上げて、廉は立ち向かった。 1人、また1人。 廉のパイプで腹部を殴られ、倒れていく。 首領格の少年に、鉄パイプが向かう・・・ その日の地方紙の夕刊には、 「中学生 不良同士の抗争」 と描かれた記事が一面に掲載された。 主犯は廉とされ、非難の声が集中した。 もちろん不良たちも何らかの罰が下ったが、それら全てをなぎ倒した廉程悪人扱いはされなかった。 時次も、不良の1人として扱われてしまった。
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