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「えー、今度の修学旅行では藤内のお父様の御厚意により、特別に飛行機を借りることが出来た!みんな、藤内にお礼言っとくように!!!」
「藤内サンキュー!!!」
「よっ警察官!」
教師の声に倣って、生徒たちが次々に時次に声をかける。時次は気にも留めていない様子であった。
聞くことによると時次の家は父親は警視総監、母親は不動産会社の跡取りだったそうで、向かうところ敵無しのスーパー金持ちである。しかし時次は決してそれを鼻にかけることも無く暮らしていたため、より一層みなの好感を買っていた。廉の親友という立場でなかったら、学年を完璧に統率できるくらいのカリスマ性である。
「しかしお前も変な奴だよな。普段そんな素振りも見せないのに、こんな時だけ大枚はたいて。」
出発前の空港での自由時間に、廉が時次に話しかける。
「親父が勝手にしただけだ。俺はあんま好きじゃないんだよな、こういう立場。地に足ついた暮らしのほうがあってる。だから中学卒業したら寮に入るんだ。お前もそうだろ?それより、あっちいいのか?」
時次が指差した先にいたのは黒澤だった。
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