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「でさ、志貴はどっちがタイプ?」
楓の両サイドに写る二人を指で押さえ志貴をまじまじと見つめた
「なんで?」
「折角茜にも春をあげようって思ってダブルデートを計画したのに、ずっと黙ったまま眉間に皺寄せてさ」
楓なりの優しさ…
と言ってやったほうがいいのかもしれない。
完璧に方向性を間違っているし、この写真を見れば茜と呼ばれた子と一緒にアトラクションに乗ることになった女の子の反応は容易に想像できた。
それで不機嫌。
まあ、当然のことだ
こいつの本心からしてみれば、二人同時に付き合いたいが、さすがにそれはできない。
ならば、茜と呼ばれた子に一人を。
と、思ったらしいがそれはダメになったらしく。
その子がダメなら遠回しに俺に押しつけようしてるみたいだけど
魂胆見え見えなんだよな。
「俺は二人に興味ないよ、どっちかといえば」
さっきから気になって仕方がなかった。不機嫌に写る姿が何だか愛しく思えて少し困らせたいって思ったんだ
可笑しな話だけどね
「茜…くん、だっけ?彼がいい」
楓が押さえる指を無視して不機嫌に横を向き写る彼の顔を優しく撫でた
きっとこれが一目惚れ
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