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「そんなことしなくても…。」 ピッと志貴の目の前に突き付けたある学校のパンフレット。 「これって。」 「そう。俺と志貴が受験する学校だよな。」 「それがどう…って、まさか。」 心底楽しげに笑う楓は、これから茜に迫りくる『振り回され人生』を想像して楽しくて仕方がない。 「正解!茜もここを受験する。」 たぶん、いや絶対に努力家の茜はこの高校の制服を着て、この春には登校しているに違いない。 そして、ここにいる二人の勉学の心配は一切する必要はない。 三人揃ってパンフレットに写る学生と同じ制服をきているのだ。 楓の絶対的な自信はのちに現実となるのだが、それなりの容姿を持っているはずの志貴の顔が色々と残念なことになっているのは、この際よしとしたいところだ。 「愛しの茜を振り向かせるために、今から計画を立てるのも楽しいもんだぞ。」 会うのはそれからでも遅くない。 待っててね。 愛しの茜ちゃん。 唯一まともに正面を向いて写る茜の写真に志貴はそっと口唇をのせた。
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