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「小さい頃に、可愛い女の子がいたら声をかけなさい。って言われなかったか?」
そんなこと言われた記憶もなければ、良識ある大人がそんなことを言うはずもない。
さて、どうやって楓を黙らせようか。
志貴の頭のなかで楓がどのような状態になっているのかは、想像もしたくないが、楓が見ていた女の子たちも女の子たちだ。
ちらちらとこちらを見ては何やら和気あいあい…というか、何やらさりげなく欲を持たせたような視線と雰囲気。
「なあ、楓。あんな風でも可愛いって言えるか?」
「何言ってんの?女の子はみんな可愛いんだよ。」
もうどうしようもない。
言葉の最後には愛想を振りまき女の子たちに笑いかける始末。
気を良くしたのか駆け寄ってきた女の子たちに全く興味の欠けらもない志貴は、盛大に嫌そうな顔をして視界に写さないべく窓の外へ。
「あ、」
窓の外では仲睦まじく歩く茜と杏崎の姿があった。
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