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「杏崎、俺の茜ちゃんを誘惑するとはいい度胸だな…。」
ぎりぎりと嫌な音を出すのではないかというほどに爪をたてて窓にへばりついている志貴は、唸りながら震える声で呟いている。
そんな姿を目の当たりにしている楓を含む女の子たちは、顔を引きつらせて苦笑するのみ。
整った顔立ちをしているが茜のこととなると周りが見えなくなる様子。
これぞまさしく、
恋は盲目。
「覚えてろ。明日きっちり問い詰めてやる!」
女の子からは白い目で見られることもおかまいなし。
たぶん、見られていることにも気付いてないとは思うが。
「もう志貴とは二度と出歩きたくない。」
志貴の異様な行動と言動に女の子たちも素早く退散してしまいひとり寂しく残された楓。
…の、前には一人の世界に入り込んでいる志貴。
ため息しか出てこない。
とにもかくにも、
明日の茜は
平穏ではいられない。
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