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「杏崎と、とーっても仲が良いんだな。」
詰め寄ってくるどす黒い雰囲気はそのままに、笑顔を張りつけているのはさすがに恐い。
杏崎と仲良くなったかと問われれば、呼び名を変え、一緒に下校した。
前よりかは仲良くなったのだと思う。
「要汰とは、」
「要汰って呼んでるんだ。へえ。」
弁解するわけではないけれど口を開けばぐさりぐさりと刺さるような言葉と視線。これ以上は何を言ってもかわらないのだろう。
「いつから要汰って?」
「昨日決めたばかりです。」
これでは尋問。
茜自身も気付かないうちに敬語がつらつらと。
先程が犯人と探偵なら、
さしずめ犯人と刑事。
茜の犯人の定位置に代わりはないのだけれど…。
「杏崎のこと、すき?」
「それがさっきのことと、どういう関係があるのか教えてもらいたいね。」
友情はまだ育まれたばかり。
呼び名も変えたばかり。
すべてが始まったばかりと言ってもいいぐらいなのに、すきか嫌いかと聞かれても、たぶんすき。としか答えられない。
すきでなければ友情を築き上げようとも思わないし、ともに下校もありえない。
「あのな、」
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