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「昨日よりは俺のこと好きになった?」
「さあな、どうだろ」
「俺は昨日よりもっと茜が好きだよ」
軽くあしらわれてもめげない彼、壱村 志貴(イチムラ シキ)同じく高校二年生の17才
現在、藤倉 茜に猛烈アタック中
しかし残念
今日も相変わらず適当に受け流される日々
片思い暦、一年二ヵ月と二十一日。ここまできっちりと覚えているのも周りから見ればただただ、気持ちが悪いだけ
しかし、当の本人は真剣そのものなのだが
厄介事からやっと解放されていたと思っていた。
自分の周りは平穏無事で所々にちょっとした幸せがあればそれで十分
そんなことを考えている茜としては、この高校に進学して現れた志貴によって脆くも崩れ去ってしまっている
「早く帰ろう、実はコーヒーの美味しいお店見つけたんだ」
大好きなコーヒーを餌に今日も志貴に誘われるまま付いていくことはこの際どうでもいいことなのかもしれない
もちろん、志貴はすべて計算済みなのだが。
「ご馳走様です」
「俺の奢りは決定事項みたいだね」
苦笑いにお財布と相談しはじめた志貴を後ろから見ている茜は至極楽しそうだった
まんざらでもないくせに
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