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「茜ちゃんデート」 抹茶のシフォンケーキを頬張った志貴はフォークで尖らせた自分の口唇を突きながらぶつぶつと愚痴っている 見る人が見れば可愛らしい仕草なのかもしれない 数少ない女子生徒から何度も告白を受けている志貴。 格好いいと形容詞される部類に入り、そこにちょっと可愛らしい表情をすれば黄色い悲鳴があがること必須なのだろう ただし、 それは女の子が相手の場合。 少なくとも茜の前ではそれは一切通用しないのだ。 現に口に運んでいたカップの隙間からコーヒーが零れ落ちていることに気付かないほど、呆れにも似た白い目を志貴に向けているのだから 「気持ち悪い」 「それは大変だ。トイレ連れていこうか?」 「馬鹿、志貴の所為だ」 口端から零れたコーヒーを手の甲で拭い取っていると茜の視界が楓でいっぱいになった。 思わず後退った茜をがっちり捕まえて、テーブルに備え付けられている紙製のナプキンを取るとゆっくりと近付け優しく拭う。 「いいよ楓、自分で出来る」 「とかなんとか言って、茜は俺がいないと何にも出来ないんだから」 「調子にのんな」 傍から見れば二人の恋人同士のような雰囲気に邪魔をすることも忘れて志貴は唖然としていた 「楓ちゃんやめろ。茜の初めては俺が貰う」 「だぁあっ!公衆の面前でふざけた事言うな!」 こうして今日も振り回されて一日が終わる
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