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―…きて。お…て―
あぁ、頭がぼーっとする。
私、どうしたんだっけ?
―起きて。―
誰かの声が聞こえる。
私を呼ぶ…この声は…
誰の声?
私を呼んでる。
―起きて、マーテル―
アナタは…、
ゆっくりと、瞼をあける。
窓から差し込む光に、無意識に眉を寄せる。
(ここは…?)
天井を見れば、見覚えは無く、首をぐるりと回し、部屋を見渡した。
瞬間、視界に入る銀。
「お、目が覚めたか?よかった。」
銀髪の青年が、私に話かけた。
「あの…、ここは…?」
まだ目覚めたばかりで頭が回らない私は、たどたどしく、彼にきいた。
「…ここは病院。俺はフォース、此処の医者の助手をしてる。
ちなみに、アンタは俺が薬草を取るために町外れの森まで出掛けた時、たまたま倒れてるのを見つけたんだ。」
彼の言葉を聞いて、私は頭を殴られたかのような衝撃をうけた。
実際には、殴られてなどいないのだが、彼の言葉は私にそのような感覚を与えたのだ。
(森…?嘘だ、だって、だって、私…)
そう、だってワタシは
(そんな所に、行った記憶なんて無いもの)
今日、このとき、初めて私は、今の自分がどういった状態にあるか、気が付いた。
「…そんな、私…今までのこと…
『覚えて無い、だろ?』…どうして、わかったの?」
私が呟いた言葉に、彼は口を挟んだ。
ゆっくり、彼を見る。
「どうして、わかったの?」
私は言葉を繰り返す。
そのすぐ後に、彼はいきなり笑いだした。
「…あはははは!!
どうして、って…、ぶっ、ククク。
おま、、お前、顔にかいてあるぜ。なんも覚えてねぇって。」
し、失礼な!!こっちはメチャクチャシリアスに、この先どうしよう、とか考えてたのに!!
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