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黒と憂鬱
『はぁーい!診察しまーす!』
「は…はぁ・・・。」
私の目の前にはまるで夜のように黒く、綺麗な髪を持った女の人。
この人はエメ・ロードさん。
事は数分前にさかのぼる。
…‥・数分前・‥…
私の話を遮って、それはもう扉を壊さんばかりの勢いで彼女は登場した。
またこの人は…とフォースが隣でため息をついたのが分かった。
『はじめまして!!私の名前はエメ・ロード!!医者をしてるわ。よろしくね!アナタは?』
「え、…えっと、マ、マーテルです。」
いきなり話を振られ少し戸惑いながら返事を返す。
(げ…、元気な人だなぁー…。)
常にニコニコと効果音がつきそうなくらい笑顔のエメさん。
実はかなりビックリしたのはここだけの秘密だ。
(あれ?診察って…。)
ふ、と先程のフォースとのやりとりを思い出す。
「あの、診察ならさっきフォースがし『フォースなんかじゃダメよ!!』、て……、え?」
ま、また遮られた…‥!!
そのままエメさんは話し続ける。
『フォースはまだまだヒヨッコなんだから!!あの子の診察なんかじゃダメよ!!』
その言葉にフォースが反応した。
「ヒヨッコ!?薬の調合とかオレに任せっきりのクセにか!?」
『ちっちっち!あれは早く医者の仕事に慣れるためよ!ただの修行の一環であって決っっして任せているわけではナァーイのです!!』
「酒飲み過ぎた次の日は俺に診察任せっきりにするくせにー!!」
『それくらい見習いとして当然。』
「しかも診察とか控えてるのわかってるクセに酒飲み明かすだろーが!そんな医者どこにいるー!!」
『はぁーい。ここにいまーす。』
「っ…!!あんたって人はっ…!!」
『ていうか診察するって言ってんだから出て行きなさいよー。もぉーしょーがない子ねぇ。』
「っ…!!あんたって人はっ…!!」
『はいはい。出てった、出てったー!!』
「ちょっ…エメさ…!」
ガシッ!!
グイッ!!
バタンッ!ガチャッ!!
え…え、ええぇぇぇぇ!?
(フォ、フォース閉め出されたー!?)
ていうか、さっきのマシンガントーク何!?
え…、えええ!?
そして、彼女は
『さ、診察しましょうか。』
笑顔でこちらに振り返った。
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