黒と憂鬱

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そして、冒頭に戻る。 今、エメさんは私を診察中。 先程とはうって変わって真剣な表情のエメさん。 その様子をボーッと見ている私。 周りに音はない。 この状況に、ふ…と何か違和感を感じた。 (何だろう…何だか、…‥懐かしい?) おかしい…明らかにおかしい。エメさんと私が知り合いだったなら、エメさんは私に名前なんて訊かないはずだ。 何故…? 思い出せない。 否、思い出してはいけない気がする。 嫌な予感がするのは、何故…? ―クスクス…ダメだよ…‥― (何がいけないの?) ―まだ思い出しちゃ、ダメだよ― (…どうして?) ―…‥が知れば…に‥され・‥っと…‥・ ちゃうから― (…え?) ―さぁ、もう時間だよ。…起きて― (待って!!貴方はっ…!!) 『マーテルちゃぁーん!?起ーきーてー!!!』 「へっ?」 あれ?私、今…? 『診察中に寝ちゃう子なんて初めてよ?』 何回呼んでもちっとも返事しないんだもの。と言ってクスクス笑うエメさん。 そうか、私眠ってたのか…。
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