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中学2年の七夕祭りの日俺が待ち合わせの噴水のある公園に行くと、浴衣姿の彼女が立っていた。
浴衣には薄紫の朝顔の柄が描かれていた。髪を後ろで結った彼女はいつもより大人びて見えて、俺はしっかりと彼女を見て話す事ができなかったのを覚えている。
「どお? かわいいでしょ!」
彼女は少し、はにかみながら浴衣の袖を持ち上げて見せた。
「うん! まぁね」
ホントは心臓が飛びだしそうなほど高鳴り、彼女が隣にいることがうれしかったのに、俺は素直になれずそんな返事をしてしまった。
「なにそれー! 朝顔可愛くない? 竜ちゃんも気に入ってくれるとおもったのにー!」
そお言って彼女は頬を少し膨らませてみせた。
そんな事をつい最近起こった事のように思い起こしながら、 俺と誠は夜店と人の間を縫って歩いた。
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