忘れられない人(千春)

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 しかし……やっぱりと言うべきだろうか、竜二は公園の噴水の前には現れなかった。      私は言いようのない倦怠感とどうする事もできなかった自分の無力さに、何か考えるという事もできず、ただ本能的に終電を気にして家に帰ろうとした事を覚えている。      私が駅のホームで帰りの電車を待っていると反対側のホームに電車が入ってきた。      電車からは、なにやら騒がしい高校生の団体が降りてきた。      私と同じ歳位だろうか?      こんな夜遅くに制服姿のまま騒ぐその団体に私は少し軽蔑の眼差しを向けたのを覚えている。      しかしその中に私は……      私の想い続けてきた竜二の姿を見つけたのだ。     髪の毛は明らかにオキシドールか何かで脱色され過ぎた感じで制服のズボンもダボダボ。      背丈は少し高くなったのだろうか、私の知っている竜二の姿とは大きく異なったが、私の好きだった歩き方がそのままだった。    
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