孤独な門出

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ばたばたと人の歩く音がした。どうやら寝てしまっていたらしい。もう高校生らの姿はなく、駅員さんも降りていく。もう少し電車に乗っていたかったが、終電ならば降りるしかない。どんよりしていた曇り空は、すでに明るさを取り戻していた。 ドアのすぐ横の座席でぐっすり寝ているスーツ姿の男の人がいた。横に鞄が倒れ、東京ではありえない無防備な姿がなんだか暖かかった。 「終電みたいですよ。」 私が声をかけなくても駅員さんが起こしてあげるだろうが、無意識に彼の肩をたたいていた。
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