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「今いくつ?名前は?」
彼が唐突に質問してきた。私は18、いや19、じゃなくてハタチ。とあたふたしながら答えた。彼は笑った。自分の歳を言い間違う人なんて普通いないからだろう。今日19歳になったばかりの私だが、なんだか未成年にはみられたくなかったので嘘をついた。肌の荒れ具合と、落ち着いてると言われる性格のため、いつも年上にみられていたので彼も私を疑わなかった。
「じゃあオレの1個下だね。オレは夏樹っていうんだ。」
彼はそう言って、もう一度私の名前を尋ねた。私は自分の名前が嫌いだったので橋本ですと答えたが、彼が不思議そうな顔をしたので、橋本美奈子と伝えた。
「いい名前だね。」
と言われたので、なんだか恥ずかしくなった。美しくもないのに「美」という字が入ってるのが嫌だと言ったら、彼はまた笑った。よく笑う人だった。
彼は本当に夏の樹のようで、懐かしい樹のようだった。
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