今、キミの声がきこえる

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 ああ、幸せだな……。  その想いを携えながら、私達は歩き出した。 「そういえば礼は……俺が、礼の夢の続きを知ってるって、もう知ってるみたいだな」 「ええ、田中君が、言っちゃってごめん、って私に謝りに来ましたから」  そして今まで話せなかった分を取り戻すかのように、声を交わす。 「その田中君が言っていましたが……凛さんが、お祝いをしたいから涼風に来い、と言っていたそうですよ」 「むぅ、そっかぁ……。何か色々ほったらかしにしてたからなぁ」 「何か気になる含み笑いをしていましたけど……」 「む、むぅ、果てしなく不安になるな……」 「あ、大学に通う為にアパートを借りたので、後で住所を教えますね」 「え? アパートを借りないといけないような所だったっけ」 「そうですよ……まったく、私は言いましたよ? バスでも電車でもかなりの時間がかかるから、そうなるかもしれないって」 「そ、そうか……じゃあ外国に行って帰ってきたら、真っ先にそこに行くから……」 「っ…………はい……」
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