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「えーっと、話を戻すとだな、決闘っていうのは…」
「…決闘って、いうのは?」
……………………。
そういえば知らないんだった。
健一に聞こうにも、完全に気を失ってしまっている。
虚ろな声で、女に殺られて逝くなら本望や…、なんて言ってるが、まぁ健一なら大丈夫だろう。
ちなみに健一は音無に殺られた訳ではないが。
俺は音無に、決闘について自分は何も知らなかった事を告げた。
音無は、そう、と言うと、踵を返しながらもう一つ言葉を付け足した。
「…それなら、涼風に来たときに、教えて。…今日、来るんでしょ?」
俺は、もう歩き出していた音無の背中に向かって言葉を返した。
「ああ、わかった! それまでに健一から聞いておくよ。俺達も、すぐに行くから」
音無は横顔だけをこちらにむけて、こくん、と頷いた。
ちなみに、俺が言った‘俺達’は俺と健一ではない。
だが間違いなく、‘俺達’なのだ。
間違いなく。
†
学校からの帰り道。
俺は家とは逆方向の道を歩いていた。
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