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「え?! えー……と、その」
功成君は私のその反応に困惑している。
そして、どうしようかと、迷い、唸りだした。
私は横顔だけを向け、その様子を見る。
あまりにも真面目に悩んでいるので、少し笑ってしまった。
功成君はそのまま横を向いて、考え出す。
私はゆっくりと功成君の後ろに回りこんで……。
――そして、功成君を抱きしめた。
「れ、礼?! え、えっと、あの――」
「――私の方こそ」
私は自分の想いを、声から、全身から、伝えるように手に力を込めながら、言った。
「よろしくお願いします……。私と、結婚してください……」
「………………………………」
無言になる功成君。
場には沈黙が舞い降りる。
だけど、それは決して冷たいものではなく、暖かい沈黙だった。
そして……。
「うん……」
私の手に自分の手を重ねながら……。
小さく返事をしてくれた。
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