日常

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 まず頭に衝撃が来た。                  その後に体が浮遊感に包まれた。              そして全身に痛みが広がった。              これを言葉にして表すと、まさに今俺の体には、千尋の谷から落とされ、転げ落ちながらも追い討ちとしてシャイニングウィザードをくらったような痛みが、そして長時間、船に揺られ続けたような酔いが、見事にマッチして、初めて彼女と来た遊園地で絶叫系は苦手なのに見栄を張って三回連続で乗ったような――                        ――まぁ要するに落ちたのだ。学校の机から。             なんで落ちたのか、それは今の状況を見るに簡単に推測できる。  俺の横には倒れたイス。  俺のよだれでべちゃべちゃの教科書を載せた机の横に立つ憤怒の形相をしたいかつい男性教師。                           あっちゃーやっちゃったよコイツみたいな空気が漂う教室。  うん、まぁすごくすごーく簡単に言えば先生のゲンコツが落とされたってことだネ、ボクの頭に。  先生は黒板の方へ歩きながら話しかけてくる。                    「絵川君、ずいぶんと爆睡だったようだね」  俺は倒れたイスを直しながら、フランクに笑いつつ受け答える。
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