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俺は清々しい気持ちになりながら、顔を上げ、言った。
正直に。
「徹夜でゲームしてましたぁ!」
「廊下に立っとれぇ! このばかもんがぁ!」
正直に言ったのに……。
†
時刻は四時二十分。
今日の授業は全て消化され、あとは帰りのHRを残すばかりだ。
担任の先生はまだ教室には来ておらず、クラスメイト達は皆、思いのままに動き回っている。
俺は廊下に立たされた時に持たされたバケツ(水入り)のせいでジンジンする手をさすりながら、帰りの準備をしていた。
廊下に立たせるだけでなく、バケツまで持たせるなんて時代錯誤もいいところだ。
そんな事を思っていると俺の悪友、田中健一が、いきなり後ろから俺の首に抱きついてきた。
「功成ちゃ~ん」
うおっ、と驚きの声を上げながら、俺は鳥肌が立つのを感じた。
「やめろ、キモイ! 離れろっ、このバカが!」
抗議の声を上げる俺の首を健一はますます強く抱きしめてくる。
しょうがなく俺は健一に対して、首一本背負いを敢行した。
あべしっ! という声を発しながら、机を巻き込み、そして健一はそのまま地に沈んだ。
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