2861人が本棚に入れています
本棚に追加
ふぅ、と安心したため息を出しながら俺が再び椅子に座ると、健一は泣きながら、
「最近、功成ちゃんの俺に対する扱いが酷いと思うのは、俺だけ?」
と言ってきた。
安心しろ、お前だけだ。
そう心の中で言ってやりながら、俺はそのまま背もたれに背を預ける。
するとすぐに泣き止んだ健一も俺の前の席に座ってきた。
そして余りにも漠然としたことを聞いてきやがる。
「なぁ功成、お前、今日がなんの日か分かるか?」
はぁ? 分かるわけないだろ、と言っても良かったが、それだとまためんどくさい方向に話がいくと思ったので素直に聞いてやる。
「知るか、何の日だ」
健一は微笑んで、
「ザ・決闘」
と言った。
なんで‘ザ’を付けたのかは聞かないでおこう。
「決闘? なんだそりゃ?」
「えぇ!? 忘れちゃったの!? 前にも一回さそったじゃ~ん」
「知らん忘れた」
「…なんか、すごくどうでもいい風に言うね……。健ちゃん寂しい」
そりゃあどうでもいいからな。
あと自分に、ちゃんを付けるな。マジでキモイから。
最初のコメントを投稿しよう!