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それから、何とかレポートを書き終えあたしとさつきは教室に戻った。
ちょうどチャイムが鳴り先生が教壇にあがってきて欠席者の確認を始める。
すると後ろの席のさつきが肩を叩いた。
「相変わらずだね、麗奈たち」
「…へ?何が?」
声を潜めて彼女はこう言った。あたしは何の事か分からず素っ頓狂な声をあげて聞き直した。
「だからー、何の進展もないなあ…って」
進展っ!?
――冗談じゃない、秀司とはただの幼なじみだ。恋愛感情なんてさらさらない。
「何言ってんの!!あいつと何かあるなんて――」
振り返るとさつきは真面目にノートに向き合いながらそっとシャープペンシルで前を指した。
そこにはおっかない顔をした現代社会のハゲ茶瓶。
あたしはすみませーん、と謝罪の意味を込めて頭を下げ授業を受け始めた。
(秀司、ねぇ……?)
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